まねだの日記

かけだし生物学者の留学日記

91日目

もうすぐ3か月経つのに全然言語上達しないよやべーよ。

0. H木君の論文プレスリリースされてんじゃん。素晴らしい。次はvivoかな。それとも分化メカニズムかな。

 

1. 自分も前ラボ論文がいよいよ大詰め。今週末に英文校閲出して来週か再来週投稿予定。ドキドキだ。しかしこのテーマを始めてまだ2年半しか経っていないことに気付いた。この短期間でよく頑張ってデータ取ったわ自分。多少荒削りな部分があるのも無理はない。

この論文の落ち着き先次第で今後のキャリアも変わってくるだろうから、もう少し気を緩めずに頑張る。

 

2. こっちでの仕事も比較的順調なんだけど、同僚の研究に吸収されそうで怖い。ボスが僕に色々聞くといいよとその人に伝えたらしく、明後日ディスカッションしましょって言われた。うーむ。競合しないようにうまく棲み分けようねって提案してみる。

3. テクニシャンからみんなに「おまえら動物使いすぎじゃ」っていうアナウンスが。ボスが良いことじゃないかとなだめてくれたけど、無駄遣いしている人なんて一人もいないよ。みんな自分が生きるために必死だからな。しかしその中でも自分はvivo屋と違って使用数が多いので今後も目をつけられる可能性大いにあり。

ちと心配なり。。

 

75日目

ついに初データがとれた。3か月目にしてようやく。とても興味深いデータ。

この実験系を使っている人は世界で一人だから、自分だけが知っていることになる。にやり。

解析してみると、ノイズではない。が、再現性があるかどうかはまだわからない。せっかくわざわざこちらに来てまで研究しているので、アーティファクトを拾って喜ぶ研究だけはしたくない。だから余計に慎重になってしまう。とくに新しい系を用いる場合は石橋を叩いて割るくらい慎重に検討した方が、かえって早く進むのではないかと思っている。

その後、ボスとハイタッチをするという、感動的な経験をした。早く信頼を勝ち得たいぜ。

しかしここからのテーマの進め方が難しい。進め方が4パターンくらいある。そのうちいくつかの道の先は崖になっているだろうから、これまた慎重に考えないとな。。

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同僚が4人(も!)、今夏ー秋にかけて去ることが決定したらしい。2人はPIに、2人は民間に。後者は二人とも7年在籍して現在論文0。優秀だと思ったんだけど甘くはないようだ。一人はコンサルにいくことが決まっているらしい。

PIになる二人は一人はScienceの1stかつ現在N姉妹紙受理直前という勝ち組系。競合ポジションを見事にゲットしてきたようだ。

もう一人はまさかの中国で独立。彼もまだ論文が出ていないのだけれど、2つの大御所ラボ出身というのが効いたのか、むこうからオファーをくれたらしい。

 

研究続けたいなぁ。。

渡独72日目 

自分の勘違いで英会話の時間が空いてしまったので書く。

書くべきことがいっぱいあるのだけれど、日本語で文章を書くのが何か怖い。書けば書くほど外国語が抜け落ちそうな脅迫感。この感覚は素人にありがちらしいね。

最近あった大きなことをいくつか説明して終わる。

1. VISAとれた

これかなりしんどかった。外国人局に現地の人を連れて行かないと動物以下の扱いを受けるということを学んだ。しかも一人で行ったときは手数料130€って言われたのがドイツ人に着いてきてもらったら60€になった。どういうことじゃボケ。担当者の裁量とはいうけどこの処遇はひどすぎる。

2. 酔い潰れた

ロレンツとその友達に誘われるがままに行動したら、バー2軒クラブ3軒をはしごして、本当の意味で死にかけた。学部時代ぶりに吐いて、こん睡状態のままタクシーに押し込まれ、家まで運ばれた。多分運転手ルーマニア人だったから、財布とられて山に捨てられてもおかしくない状況だった。ノートPCもいったん失ったけど何とか取り返した。

3軒目は古風な80年代っぽい感じのバーに連れて行かれたんだけど、マスターに何か日本の曲流してよって言ったら いいけど、何がいい?って聞かれて、とっさに出た名前はミスチルだった。「Mr. Children?何だそのふざけた名前は」と笑いながらも適当にかけてくれた曲がHANABIで、その時の気分にぴったりだった。みんなはこれがジャパニーズかー、クスクスって感じでちょっと不快だったけど。良い経験だった。

3. サムとロレンツの能力と優しさ

この二人の化け物具合がすごすぎる。ロレンツは芸術コース出身であることが発覚。ずっと絵を描いていたらしい。なのになぜかブランクなく剣橋でPh.Dをとるという日本では考えられない経歴。 また、最近まで気づかなかったけどサムはNIHで26才でPh.Dをとっている。しかも今のデータ量。全く別のテーマがどちらもとてもうまくいってるいからこの調子だときっと御三家に二本行くだろう。何なのこの人たち。言語の壁でくすぶっている場合じゃない。彼らの優しさについてはまた今度書く。

4. 書きたいことがあるけどまだ内緒

 

何か日本語力が落ちた気がするぞ。

定期的に書くことにする。

 

 

渡独 49日目

こちらの国ではイースター休暇というものがあって、先週の金曜から今日までずっと休み。ずっと論文読んだり体力回復したり。一回くらいは更新しといた方がいいなと思い、何か書いてみる。

 

行動実験についていろいろ考えていたのだけれど、今日は恐怖条件づけ(フィアコン)について思うことを書く。

学生時代の先輩が、「フィアコンを考えた人は本当に天才。みんな当たり前のように使っているけどこの手法を思いついた人はすごすぎる。」と絶賛していた。

同意。たった一発の電流で学習を完了させて、しかもすくみ時間を測定することによって「記憶の度合いを定量」できる。こんな便利な行動試験は他にない。実際、LuthiやSusumu、知り合いだとJohannesの論文はフィアコンが多く、それを用いるに至る着想やそこから導く結論はエレガントだ。

だけど、僕はフィアコンが嫌い。ただ嫌いなだけ。

なぜなら、「ある遺伝子をKOしたらすくみ時間が25%から20%に低下した。だからこの遺伝子は記憶に必要である。」というような結論に(論理的ではない)違和感を持ってしまうからだ。25%、20%のすくみとは、記録時間が1分だとしたら止まっていた時間が15秒、12秒だったということ。これを記憶力の差だと結論を出すのが気持ち悪い。直感に反するから何か嫌だ。

だから、定量の指標をすくみ時間だけにするのではなく、ある閾値を設けて何匹中何匹がすくんだか、すくまなかったかというデータを追加で出すようにしたらよりよくなるのではないかとぼんやり思っている。そういう意味でも個々のデータをグラフ上に重ねてプロットするのは重要ですね。

ちなみにフィアコンを絶賛していた先輩も、自分でフィアコンをやろうとはしていなかった。何か思うところがあったのかもしれない。

 

 

 

45日目 ドイツの良いところと悪いところ 日常生活編

そろそろドイツと日本の違いが明確にわかってきた気がする。今日は1つずつ挙げてみようと思う。

まずは良いところから。

ペットボトルや缶をスーパーの機械に入れると一本につき25セント(0.25ユーロ)もらえる。つまり、飲み物を買う時に容器代も払っていて、それが還ってくるという仕組みだ。日本も昔はビールの空き瓶を酒屋さんに返却したらお金が還ってきていたよね。今もあるのかな。

だから、フランクフルトの街に空き缶やペットボトルが転がっていることは決してない。これは是非とも日本に真似してほしいシステムだ。

しかも今日、信じられないものを見つけた。とあるビールが500ccで29セントなの!つまり、缶をきちんと返却したら実質4セント。5円でビールが飲めるということです。早速飲んでみたところ、クオリティは決して低くはなく、ホップの苦味と香りがしっかりしていて、ちゃんとしたビール。素晴らしい。これは日本には導入しなくてよい。

 

次に悪いところ。

なんといっても郵便システムでしょう。日本が素晴らしすぎるのかもしれないけど、それにしてもひどい。悪い部分を列挙してみる。

1. 配達員の気分によっては配達されない、重い荷物の場合運ぶのが面倒だから家にいるのに不在票を入れられたりする。(らしい

2.国際荷物(特に船便)が配達されずに日本に送り返されることがある。しかも荷物の往復代を追加で2万円以上請求される。(らしい

3.不在票をポストに入れる代わりに隣人に荷物を預けることがある。これは常識らしい。

今日、僕は3を味わった。船便の不在票が入っていて、よく見ると「シュレーダーさんに預けました」と書いてある。オートロックなので、アパートの玄関でインターホンを押すと、遠くからおばさんが叫ぶ声がする。声の方へ階段を上っていくと、アパート最上階の奥の部屋に車いすのおばあさんが。しかもすごく不機嫌そう。

「Haben Sie meine pakete?」と聞くと、ものすごい早さのドイツ語でまくしたてられた。何一つわからない。いや、「ツヴァイ」だけ聞こえた。何が二回なんだろうか。で、よく見ると扉の前に大きな荷物が置いてあり、これこれ!というとまたマシンガンジャーマン(いま命名した)。とりあえず満面の笑みで「フィーレンダンク!!」というと、勝手にしなさいという感じで部屋に戻っていった。これはあんまり大きな声で言うべきではないけどこっちの国のお年寄りは外国人にめっちゃ厳しい。一人を除いてみんな蔑むように見てくる。いや、日本でも〇っきーあたりにはひどく嫌われてたし変わらないか。撤回。

話を戻すと、これがドイツの郵便です。先が思いやられる。でも、昨日日本の学会のニュースレターがポストに入っていた時は少し感動した(笑)

 

今日はここまで。研究に役立つ記事をまだ一個も書いていない。

 

 

追記(6/12):4€ビールは間違いでした。29セントビールを一本だけ買ったら54セントになっていることに気づきました。つまり、定価に25セントが上乗せされているということ。知らずに50セント硬貨1枚を握りしめて差し出した僕は恥をかきました。

 

渡独 40日目 ロレンツ

Felasaの後ロレンツとドイツ居酒屋と日本食屋をはしごしたんだけど、前半はMalenaというドイツ人の女の人がいた。ロレンツと相思相愛っぽかったので、帰り道にいけるぞ!いけるぞ!押せ押せー!と応援していた。

家に帰ったらロレンツからメッセージが入って、「きょうは楽しかった!いっぱい酔っ払って千鳥足だよ;)きみはラーメン食べ逃したね、満腹だぜ!酒も最高だった」と言われ、「おれもだ、家にたどり着けなかったら拾いにいくよ」と普通に返事をした。ロレンツはなんていいやつなんだって思いながら。

 

昨日、その僕のメッセージにさらに返信が来た。「そう言ってくれて嬉しいよ!君が迎えにくる未来を楽しみにしている。なんて幸せなんだ:)」と。

んん?これは何か危ない気配がするぞ?と思って昨日、今日と距離を置いていたのだけど、今彼からメッセージが来てようやくわかった。

 

「Malena, 今から飲まない?他の人もいるよ!最高の週末にしよう」

( ‘д‘)
  ⊂彡☆))Д´)パーン

 

ゲイじゃなくてよかった。まじで安心した。で、

「Hey, Lorenz! It's me!! おれ!!」と返したら、気が動転したロレンツから電話がかかってきて僕の返し方に問題があるとか色々言われたけど、もうここから先は醜い泥試合だから書かなくていいや、終了。

今週も頑張った。まだノーデータ。

渡独 38日目 FELASA

前回書いた記事が消えてる…。研究とフェローシップの話を詳しく書いたんだけどな。まぁいいや。


昨日、一昨日はFELASA講習というものを受けてきた。日本語でいうと動物実験講習です。

知らない大学で朝8時から夕方6時まで集中講義があって、2日目の夕方にテストがあり、それに合格したら晴れて動物実験を行えるようになる。

まさかここまで厳格なものとは思わなかったので、もうへとへと。しかも全部英語だから、想像を絶する疲れだった。でも真面目に聞いたのでかなり勉強になった。

せっかくなのでFELASAコースの発見を数個だけ書いておく。

1.こっちでは「Good reason」がない限り動物を殺してはならない。家にネズミが出てそれを殺したら違法で、逮捕または罰金らしい。でも理由をこじつければ何とかなるとかならないとか。

2.それと一緒で、釣りもライセンスが必要。許可なく釣りをしたら逮捕されるらしい。びっくり。

3.エビだけは実験用に何匹購入しようが報告の義務なし。ただし使った数は報告の必要あり。変なの。

4.トランスジェニックマウスの作り方とか、ゲノム編集技術とか、その原理まで含めて普通に試験問題で出てきた。聞いてないと本当に落とされる。

5.日本と韓国は動物慰霊祭を行っている、と倫理の先生が言ったらドイツ人の品のない女たちがケラケラ笑っていた。そんなにおかしいか?

6.この人たち、動物を殺す方法の時にもずっと笑ってて怖かった。えー、これ使ったら一瞬で殺せるの!?ウケるーみたいな発言を平気でする。一緒に働くのは無理。

 

…振り返るとおれ何も学んでないな。


ちなみに講義中にロレンツの新論文がPNASにpublishされていた。Ph.DでPNAS 1st 2報とNature共著1報って、十分化け物だろう。彼と一緒に盛り上げていきたい。