まねだの日記

かけだし生物学者の留学日記

渡独12日目 RIGもうすぐ

復活した。昨日の体調はなかなかやばかった。

My RIG(前回の日記参照)がほぼ立ち上がった。早い。しんどいのによく頑張った自分。しかしあるかないかわからない物を探して奔走するのは本当に疲れる。みんな自分のラボの備品くらい把握していてくれよ…。

とりあえず二週間頑張ったからご褒美に封印していた邦楽を聴く。今日はミスチルを聴く。今はAny。

 

AxoscopeとHEKAどっちのアンプでいくか迷っているうちに、気づいたらまさかのAxoscope2チャネル、HEKA2チャネルっていうすごくアホっぽいセットアップになってしまった。今やりたい実験は2チャネルで足りるからとりあえずはまぁいいか。いいのか?ちなみに同僚のマイクが無事Ph.Dをとってもうすぐラボを発つから、そうしたら一気にHEKAが10チャネル手に入る。ロレンツと分け合ったとしても最低4チャネルはもらえるだろう。しめしめ。ちなみにマイクは8本同時パッチクランプを一日に2-3ターン、ノーミスでやるスキルを持っている。なので一回実験すると少なくとも50ペアは記録できるらしい。ジルは頭使って工夫を凝らす系の仕事が多いと思っていたけどこういう攻め方もするのね。自分はこういう仕事はやらないと思うけど、このスキルは欲しい。見習いたい。今はNOT FOUND。

rigの話に戻る。今の状態でもスライスやスラブなら実験できるらしいのだが全脳標本は難しいらしい。それでは立ち上げた意味がないので特注チャンバーを技術部門に注文することになった。来週だな。

Neuralynxのアンプはパソコンにボードを入れる必要があるのかな?変な形のコードが付いていたのだけどどこに差し込むかわからなかった。シリコンプローブを使えたら無敵なんだけどな。オンラインソーティングして刺激入れたりしてみたい。

Caイメージングはいったん封印。ジルの信用を得てからCSUをおねだりしても遅くはない。

ということでto do list

・Marcelに使っていないヘッドステージくれと頼む

・Mikeにヘッドステージのサポーターをくれと頼む

・チャンバーをオーダーする

・NeuralynxのセットアップについてSamに聞く。

・ノイズとり

今は常套句。

渡独10日目 さっそく風邪ひいた

風邪をひいた。間違いなく電車でもらったやつだ。一昨日前の座席に座っているおばさんの咳がひどくて、そのまま素直にもらった。なんでドイツ人はマスクをしないのだろう。郷に入りてはってことで僕もしないけど、ラボに蔓延しても知らないからな。

 

午後からラボへ。

うちのラボはSvoboda, Brecht, Albert Lee, Logothetis,など、有名ラボ出身の人が多い。この人たちは他の人よりも常に自信に満ちている(気がする)。しかしラボで一番優秀なのは彼らではなく間違いなくSam君。彼はずば抜けてスペックが高い。in vivo で彼と一緒にテーマを走らせてみたかったが、頼りまくってしまうことが予想されたからあえてやめた。ジルと一対一で研究することが目的だったし。ということで僕は一人で究極のvitro標本を作ってやります。早く実験したい。

 

さっき大家さんが来て、初めて謝られた。満足だけど、謝らないキャラを貫き通してほしい気持ちもあったので少し残念。あまのじゃく。

 

 

渡独9日目 リグ

今日はドラゴンミーティング。うちのラボもいくつかのグループに分かれている。大雑把に分けて

・dragon physiology 

・turtle physiology 

・molecular biology 

・ひたすら免染 

・イカの模様解析

脳を理解する上でどれも欠かせない技術ですよね。イカの研究も好き。でも僕は花形(?)のドラゴンphysiology グループを選びました。

で、今日は早速グルミがあった。基本、記憶・学習・睡眠・感覚系の話だから、多少早口でも大体ついていけた。みんなリップルに興味があるのね。僕は散々リップルと向き合ってきたから一回離れたい。1時間以上話したんだけど、終わりがけでボスが、

「Hiro, where is your リグ?」

と聞いてきて、パニックに。lig?rig?りぐ?…リーグか。さっきヤフーニュースでWBCの一次リーグの記事を読んでいたから、日本は一次リーグはどのグループなんだという意味だな。さすがずっとアメリカにいただけあって野球好きだな。しかし文脈的におかしい。

「I don't know, sir!!!」

と正直に元気よく答えたら ん?I don't knowだと?? って顔をされた。するとシニアポスドクが「彼には僕が来週実験を教えますよ」って言って、 ボスはふーん、そうかと納得して、リグの意味が余計にわからなくなる。で、その後に

「Do you have your own リグ?」

と再度聞かれる。

リグなんて持ってないから「NO!!!!!」と答えた。そしたらそのシニアポスドク

「あのdeviceを使えって言っただろ!」

と怒り気味で言ってきて、ますます何のこっちゃと。そこで初めて

「What is リグ?」

と聞いたら、一瞬の沈黙の後みんな大爆笑。そこでようやくわかったのだが、

リグ=実験装置

のことらしいです。初号機、フロンティアみたいな感じ。そういえば先週廃墟みたいな実験台を指してこれを使えって言われたわと、ここで初めて合点がいく。つまり、推測すると、

ボスはhiroにどの実験台を使うべきか割り振ってあげてとポスドクに命令したが、ポスドクはワークしている台ではなく適当な廃墟を選んで適当にhiroに伝えた。だからリグと言われても単語の意味を推測することすらできず、みんなに笑われたと。くっ…!!

 

でも、ミーティング後にその廃墟をよく見てみたのだけれど、いろんなものが転がってるの。一個一個並べてみると、HEKAやaxon instrumentsからneuralynxまで、何でもあるじゃないの!Andorのカメラもあるし。さらに、中央に静かに佇んでいる顕微鏡をよく見ると、「Caltech」の文字が…!!なんとボスがアメリカから持ってきた二台の装置のうちの一つらしい(もう一台はボス本人が現役で使っている)。これで俄然やる気が出た。こいつらを使って最高のセットアップを作ってやる。ちなみにこの実験台には『ダリル』と名付けることにした。このシチュエーションからFF6の飛空艇ファルコンを想起したので。いや、ちょっと違うな。まぁいいか。

 

ということで明日からはセットアップに励みます。もちろん英語もね。

 

渡独7日目 日曜日 英会話能力について

熱い気持ちで留学したのに、ただののほほんホームステイ日記みたいになっているというご指摘を受けたので、この一週間で感じたことを書く。

ラボでは初日から完全に打ちのめされた。言語に。M1ぶりに底辺ポジションになった。ただ、彼らがやっている内容は普通に理解できるし、こいつは天才で敵わないな、なんて人は正直いない。大学院時代の同期の方が多分器用で機動力もある。 要するに全ては自分のスピーキング力に起因する。だからこそ余計に悔しい。

なぜ英会話を全くといっていいほどやってこなかったかというと、もちろん甘えもあるが、優先順位が他の要素(実験、解析、知識習得)に比べて低かったのが大きい。例えば、世の中に英語ができる人は五万といるが、研究がすごくできる人はそうはいない。英会話が不要な日本にいるのに言語に気を取られすぎて専門を疎かにすることだけは避けたかった。極端な理想を言うと、海外に行ったときにこいつ英語は全然喋れないけど研究能力はすごいぞ。こんなやつがいるのね。って思わせることを若い時からずっと目標にしていた(自分は学部4年間遊び呆けていたツケもあり、スペックが極端に低かったのでこうするしかなかった。後悔はしていない。)。

で、こういう風になれたのか、なれるのかはまだわからない。でもようやく海外に来たわけだから、これからは言語にも力を入れていく。

ということで、

・マーフィーのEnglish grammer in use で文法を

・ラボでの日常会話とオンライン英会話(Bizmates)でスピーキングを

TOEFL英単語4000で英単語を

podcastでリスニングを

毎日補強していくことにする。

自分の性格上、ノルマは作らない方がうまくいくのでゆるっとやっていく。

 

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トマトとズッキーニの育て方について調べている。どうやら初めから花壇に種を植えるより、はじめは小さなカップで育てて、その後広い場所へ「移す」のが良いようだ。

3月に入ったのでトマトの種を植えた。品種はgartenperle(庭の真珠?)。 

収穫した野菜で夏に最高のイタリアンを作るのが目標。成長日記もupしていくぜ。

 

渡独6日目 初休日

今日は土曜日ということで、初めての休日。昼に友達と会うのだが、それ以外はとくに予定なし。

ラボは夕方まで大がかりな清掃作業があるらしく、入構禁止らしい。なので、今日は家でおとなしくお勉強と料理に励むことにする。

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こっちに来て早くも思っていることだが、ドイツ人は絶対に謝らない。過去に来独した時も彼らが謝っているのを一度も見たことがない。

一昨日、大家さんに夜7時に壁の修理に行くから絶対に空けといてね、と言われていたので本当はラボ行事があったけど仕方なく家に帰った。

が、7時になる10分前くらいになって電話がかかってきた。「今日は行けない。週末は空いてるか」と。いいけど日曜の夕方しか無理、と答えた。そしたら「OKわかった、じゃあねー」って。侘びの言葉が一言もなかった。まじかよ。

ただ、大家さんはすごく良い人で、こっちでの生活をとても気にかけてくれる。つまり、ドイツ人=ルールに厳しく、真面目。しかし自分に非があっても謝らない。

これうちの父やんけ。父は絶対ドイツ文化にすんなりと溶け込めると思う。今月末に遊びに来るから楽しみだ。

 

さて、友人とランチしてくる。

 

渡独5日目 boring

実験ができるのは動物講習を受けてからだと言われた。

その日程はなんと4月上旬。うそでしょ…。

それまで何をしたらいいのかさっぱりわからない。人の実験を見てもいいけどうらやましくなるだけだしな。

今日はとりあえず論文を読む。

渡独3日目 ビザ予約

昨日は(も)疲れて爆睡だったので今書く。

朝からビザの申請のために外国人局に行ってきた。

Gallswarteという駅が最寄りなのだけど、ここから外国人局までが遠い遠い。しかも無謀にも地図なしで臨んだので案の定迷った。本来なら徒歩20分くらいのところが2時間かかった。しかも途中で通り雨にやられるし、完全に戦意を喪失していた。

外国人局に着いたのが10:00。家を出たのは7時。津ー東京間かよ。

で、よくわからないまま長蛇の列に並んでいると、意外にもサクサク進み自分の番が来た。超無愛想な女が受付。何か嫌なことでもあったのかな、と思うくらい始めからイラついている。たぶんこいつは外国人のことを人間だと思っていない。でもめげずにMPIからの招待状、保険証、住民登録などを見せると ふむふむ…とタイプし始めた。そのまま待つこと5分。

「ビザの予約をしてあげたわ。5月10日に来て。」と。

5月!?めっちゃ先やん。みんなこんなものなの?

さらにキツかったのが、

「おまえの書類英語だからだめ。全部ドイツ語で再発行してもらってこいや!」

と言われたこと。書類仕事本当に嫌いなんです、私。

 

このことをラボの秘書さんに伝えると、マレンという、MPIの国際課の女性に会うことを勧めてくれた。早速マレンの元へ行くと、

「外国人局に一人で行ったの?あんなところに?怖かったでしょう?ここの研究員はみんな私と一緒に行ってるのよ。」って。まじかよ。

「私だったら予約の日程もっと前倒してあげることができたのに。しかも今日のあなたの担当の人 私の友達だわ。まぁいいわ、5月に一緒に行きましょう」

あいつが友達だなんて…。でも一緒に行ってもらえるなら心強い。本当に安心した。

 

その後はラボ。まだペーパーワークを抜け出せない。早く自分のテーマを始めたいぜ。