のり日記

かけだし神経科学者の留学日記

159日目

朝からボスとマンツーマンディスカッション。かれこれ二ヶ月ぶり。緊張するけど至福のひとときである。相変わらず自分の英語はひどいけど、伝えたいことは伝えられるようになってきた。まだまだこれから。

自分がジルを指導者として選んだ最大の理由は、彼の論文が提示する問いの質と、もたらす解のエレガントさにある。その問いはどうやって生まれるかというと、すべて探索実験からである。一切の仮説を持たず、ピュアな気持ちでデータを眺める。そうやって、解き明かすべき問いを何もないところから炙り出すのが他の研究者よりも圧倒的にうまい。

 

ちなみに今日聞いた、ジルスタイルの研究者になるために、教わった大事なことをメモ

1.実験は何例やるべきか

ジル曰く、新しいものが見つからなさそうだと思った時点でその実験をやめて他の事をやるのが探索実験の基本だそうな。だから、今は3-5例で十分だと。そして、論文にする時にストーリーが出来上がってから例数を足す。ちと二度手間な気がするけど、時期が空いても再現がとれるわけだから安心できそうではある。

2.視野は広く

今日、ある現象が生じる理由について、データとともに一つの仮説を持って臨んだのだけれど、そのようなことを考えたことがなかったから持ち帰って考えてみると言ってくれた。だが仮説にとらわれて、探索をやめることはしない方がよいと言われた。むしろ似たような探索実験を多角的にやって、自然にその仮説にたどり着くような攻め方がよいと。要するにもっともっと実験して俺を納得させろと、そういう風に言っているように感じた。

3.非生理的な実験はやめとけ(専門的なので読み飛ばして)

例えばテタヌス刺激でLTPを誘導する実験などは、ジルは大嫌い。況やオプト実験をや。生理的に起こっている現象を観察して、考察して、答えを導くのが基本だそうな。そういう考え方が本当に好き。そういえばBrechtもオプトは使わねーって言って拒絶し続けているらしい。完全拒否はどうかと思うけど、彼らの哲学はとても大事だと思う。継承したい。

 

さて仕事に戻る。