まねだの日記

かけだし生物学者の留学日記

106日目

もうこっちに来てから100日超えてる…。うそでしょ。

備忘録を2つ。

1.前ラボの論文を投稿した。今ブザキorモリスによる審査中。はよ返事ちょうだい。

この論文では色々な実験をして、睡眠時には脳の中でこんなことが起こっているんだよ、ということを報告している。どこの論文に落ち着くかはわからないけど、きっと睡眠や記憶の研究をしている人に興味を持ってもらえるはず。少しでも多くの人の目に留まる雑誌に受理されますように。

 

2.こちらに来て初めての研究発表が終わった。もちろん英語。今日知ったんだけど、どうやらラボに来て3か月で報告をするのは異常らしい。日程表を作る担当の学生(こやつもロレンツという名前、ややこしいから学生Aと呼ぶ)が自分の発表を遅らせたいから無理やり僕ら新人を入れたらしい。ちなみに親友のロレンツも僕の二週間前に発表する予定だったのだけれどまだきちんと研究がスタートしていないからと申し出て2か月遅らせてもらったらしい。

ちなみにこの学生A、もうかれこれ1年以上データ発表をしていないらしい。なのに学位論文を書く気配もなく、何もせず居座っている。つまりただの寄生状態。税金の無駄。これはあかんでしょ、と台湾人が言っていた。

 

まあそれは置いておいて、自分の発表だけど、やっぱりうまくはできないね。納得がいく日なんて来ないんじゃないかって思う。質疑応答は数個外したし、理解できてもうまく答えられない。極めつけは「この脳から何時間記録したの?」と聞かれ、5hours と答えるはずが5yearsと答えてしまった。会場大爆笑。自分のばか野郎!思い出すたびに胸がズキンってなる。。

ただしデータはいっぱいあったので、1時間喋ることができた。上出来だと思う。みんなの前でボスに1回で100万円消費する某実験道具をおねだりしたら、いいよとのこと。嬉しすぎる。これで録ったデータで雑誌の表紙を飾りたい。

そして終わった後、サムが話しかけてくれた。2年前のジョブインタビューよりずっと成長してるじゃん、と。先生えぇぇ(タメだけど)って感じ。2年前はひどかった、でもボスはこんな僕を受け入れてくれた、有難い、と言ったら近くでボスが聞いていてクスクス笑っていた。いや本当に器が大きくないと僕なんて雇わないよ普通。ボスは昆虫と爬虫類の研究をしてきただけあってゲテモノが好きなんだな、きっと。まぁこれから予想をはるかに超える活躍をしてやるけどな。

そしてさっきラボから帰ろうとすると、ハーマイオニーが話しかけてくれた。Nice work! You are excellent!って言ってくれた。ポッターでさえハーマイオニーからexcellentなんて言われたことはないはず。めちゃめちゃ嬉しかった。加えて、「私は日本語が英語やラテン系の言語とかけ離れていることはよく知っている。だからあなたがこの2年で努力したことがよくわかった。」と言ってくれた。ぶっちゃけ彼女から嫌われていると思っていたから泣きそうになった。危なかった。僕は仲間に恵まれすぎでは。しかし2年前の僕は相当ひどかったんだな。一応録音してあるけど聞かずに消したろ。

 

 

しかし、英語の小回りが利かないのを早急に何とかしたい。今日のディスカッションで一番悔しかったのは5yearsなんかではなく、ボスからの

「信号の発生源が2つあって、相互に情報を伝え合っているとする。これらはただ単に情報を送りあっている2つのものなのか、それとも伝え合うことでそれらが融合し、独立した一つの創発現象として機能するのか、どちらだと思う?」

という質問に答えられなかったこと。

こんなにもこんなにもこんなにも素敵な質問をぶつけてくれる人が目の前にいる!!夢みたいだ。というかこの人と対話をすることが目的ではるばるドイツまで来たのに、それなのに、何も答えられないなんて!!!

日本語だとなんて答えるかな。日本語でもきっとすぐに答えはないので、適当に喋りながら何となく頭の中で考えがまとまってきて、あー、でもぼんやりこんな感じですかねー。みたいな返答になるだろう。

でもそれを英語で話そうとすると、 I'm not sure, but,,,,,it doesn't occur to me any ideas.  でストップ。思考もストップ。絶望を感じた。もう少し何かできるだろう自分、と。同僚ポスドクに褒められたくらいでいい気になってんじゃねーよもっとできるだろうが。

 

自分に怒りが込み上げてきたのでこのまま筆を置くことにする。

 

ということで成長も課題も見えて、渡独100日間の小括として良い一日だったのではないかと思う。