123日目
文献紹介が再来週の月曜なんだけど、これにしようと決めていた論文がすでに紹介されていたことをさっき知った。あと数日遅かったら致命傷になってたかもしれない。
ちなみにこれが終わったら2ヵ月後にまた研究報告がある。ラボの人数を考えるとどう考えてもおかしい。どうやら何人かの人たちがやらずにスキップしている模様。しかし一人前になるまでのトレーニングだと思って黙って引き受けることにする。
ちなみにスキップしている人の中には特に何もしていないように見えるおじいちゃん研究員も含まれる。僕は辞書として使わせてもらっているけど、ボスは実際のところどう思っているのだろう。
今、日本はポスドクを終身雇用すべきだという流れになっているが、研究を一切しない人は必ず出てくるだろう。それを受け入れる器がない限り終身雇用はしないほうがよいと思う。自分は、任期10年再任あり制度がベストだと思う。いくら成果が出にくい仕事をしていても10年間まったく何も論文を出していなければ切ったほうが双方のためになると思うので。
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実験装置の使い方を教えてくれる予定の人が明後日から1ヶ月バカンスに行くらしく、しばらく進まない。こっちの人たちは堂々と、積極的に休みをとりにいくね。他人のために休みをずらすことなんて決してしない。見習いたい。
しかし試薬も部品も注文しても全然届かないし、このペースは日本人にはなかなかきついぜ。そういう意味で東京はとても物(流)に恵まれている。
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論文の返事がそろそろ来てもいいころなのだけれど来ない。査読者を追加されている可能性が高いな。。早くコメントを読ませていただきたい。
108日目
今日はまたも祝日。一週おきくらいに祝日が入ってきてあらゆる計画が乱れまくる。
二点。
1.いきなり査読に回った。確率1%くらいだろうと思っていたからビビった。エディターもアドバイザーも仕事早いな。きっと2,3週間後にはメッタ切りを喰らうんだろうけど、この分野の頂点にいる人たちに査読をしてもらえることが心から嬉しい。見て見てー!!って感じ。誰が見てくれたのか、コメントから推測するのが楽しみだ。が
2.来週末クロアチア行ってくる。わりと強行日程。楽しみだ。これについてはまた書く。
3.文献紹介何にしよう。これ紹介したら盛り上がりましたよー!っていうようなおすすめあったら教えてください。
106日目
もうこっちに来てから100日超えてる…。うそでしょ。
備忘録を2つ。
1.前ラボの論文を投稿した。今ブザキorモリスによる審査中。はよ返事ちょうだい。
この論文では色々な実験をして、睡眠時には脳の中でこんなことが起こっているんだよ、ということを報告している。どこの論文に落ち着くかはわからないけど、きっと睡眠や記憶の研究をしている人に興味を持ってもらえるはず。少しでも多くの人の目に留まる雑誌に受理されますように。
2.こちらに来て初めての研究発表が終わった。もちろん英語。今日知ったんだけど、どうやらラボに来て3か月で報告をするのは異常らしい。日程表を作る担当の学生(こやつもロレンツという名前、ややこしいから学生Aと呼ぶ)が自分の発表を遅らせたいから無理やり僕ら新人を入れたらしい。ちなみに親友のロレンツも僕の二週間前に発表する予定だったのだけれどまだきちんと研究がスタートしていないからと申し出て2か月遅らせてもらったらしい。
ちなみにこの学生A、もうかれこれ1年以上データ発表をしていないらしい。なのに学位論文を書く気配もなく、何もせず居座っている。つまりただの寄生状態。税金の無駄。これはあかんでしょ、と台湾人が言っていた。
まあそれは置いておいて、自分の発表だけど、やっぱりうまくはできないね。納得がいく日なんて来ないんじゃないかって思う。質疑応答は数個外したし、理解できてもうまく答えられない。極めつけは「この脳から何時間記録したの?」と聞かれ、5hours と答えるはずが5yearsと答えてしまった。会場大爆笑。自分のばか野郎!思い出すたびに胸がズキンってなる。。
ただしデータはいっぱいあったので、1時間喋ることができた。上出来だと思う。みんなの前でボスに1回で100万円消費する某実験道具をおねだりしたら、いいよとのこと。嬉しすぎる。これで録ったデータで雑誌の表紙を飾りたい。
そして終わった後、サムが話しかけてくれた。2年前のジョブインタビューよりずっと成長してるじゃん、と。先生えぇぇ(タメだけど)って感じ。2年前はひどかった、でもボスはこんな僕を受け入れてくれた、有難い、と言ったら近くでボスが聞いていてクスクス笑っていた。いや本当に器が大きくないと僕なんて雇わないよ普通。ボスは昆虫と爬虫類の研究をしてきただけあってゲテモノが好きなんだな、きっと。まぁこれから予想をはるかに超える活躍をしてやるけどな。
そしてさっきラボから帰ろうとすると、ハーマイオニーが話しかけてくれた。Nice work! You are excellent!って言ってくれた。ポッターでさえハーマイオニーからexcellentなんて言われたことはないはず。めちゃめちゃ嬉しかった。加えて、「私は日本語が英語やラテン系の言語とかけ離れていることはよく知っている。だからあなたがこの2年で努力したことがよくわかった。」と言ってくれた。ぶっちゃけ彼女から嫌われていると思っていたから泣きそうになった。危なかった。僕は仲間に恵まれすぎでは。しかし2年前の僕は相当ひどかったんだな。一応録音してあるけど聞かずに消したろ。
しかし、英語の小回りが利かないのを早急に何とかしたい。今日のディスカッションで一番悔しかったのは5yearsなんかではなく、ボスからの
「信号の発生源が2つあって、相互に情報を伝え合っているとする。これらはただ単に情報を送りあっている2つのものなのか、それとも伝え合うことでそれらが融合し、独立した一つの創発現象として機能するのか、どちらだと思う?」
という質問に答えられなかったこと。
こんなにもこんなにもこんなにも素敵な質問をぶつけてくれる人が目の前にいる!!夢みたいだ。というかこの人と対話をすることが目的ではるばるドイツまで来たのに、それなのに、何も答えられないなんて!!!
日本語だとなんて答えるかな。日本語でもきっとすぐに答えはないので、適当に喋りながら何となく頭の中で考えがまとまってきて、あー、でもぼんやりこんな感じですかねー。みたいな返答になるだろう。
でもそれを英語で話そうとすると、 I'm not sure, but,,,,,it doesn't occur to me any ideas. でストップ。思考もストップ。絶望を感じた。もう少し何かできるだろう自分、と。同僚ポスドクに褒められたくらいでいい気になってんじゃねーよもっとできるだろうが。
自分に怒りが込み上げてきたのでこのまま筆を置くことにする。
ということで成長も課題も見えて、渡独100日間の小括として良い一日だったのではないかと思う。
94日目
今日でちょうど3か月。言語の成長は亀並みかそれ以下に遅い。
しかし実験は本当に楽しい。今日はわりとインパクトあるんじゃね?この現象誰も知らないんじゃね?っていうような発見をした。ボスがなんていうか次第だけどまずは予備実験でその現象が起こる理由を探っていく。
前ラボの論文は後輩からの結果待ち。どちらの結果であろうと論文に大きな影響はないけど、ちょっとそわそわする。
今回、わりと多くの後輩に研究を手伝ってもらったんだけど、とても勉強になった。みんなそれぞれ頑張ってくれたんだけど、生データをポイッとしてくる人がいれば論文の最終形態のFigまで仕上げてくれる人もいて、同じグループで育っているはずなのにこうも違うものなのかと(ちなみに生データをぽいっとしてくれるのも自分の目で確認できるから全く構わない)。そして、普段話している印象とそのまま合致するところがまた面白い。研究って性格が出るんだな。
ちなみに自分はというと、殺されるんじゃないかという焦りから最終形態まで仕上げたものを生データとともに上納していた憶えがある。
しかしPIはいつも一人一人に合った対応をしていて大変だな…。一生ポスドクでいいやって思ってしまうのは危険だろうか…。
ところで、理研の同期の論文がNeuronに通ったらしい。めでたい。苦労していたのを知っているから自分のことのように嬉しい。おめでとう。
92日目?
今日は2つ実験したんだけど、1つは仮説通りで普通に面白くて、もう1つは先行研究の真逆で焦った。ネダーガード先生許さん。
ま、それは置いといて、明日ボスと話したら一気に次の実験へ移行することになりそう。楽しみだ。今までで一番ストレスなく仕事に向き合っている気がする。
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僕はボスの得意とするフィールドの技術を身につけて勝負したい。たとえば、ボスが電気生理の専門家なら絶対に自分も電気生理がやりたい。それが一番成長できる気がするから。もちろんこれと違う意見があっても構わない。
たまになぜか染物に走ったり、ボスと全く違うことをやり始める人がいるんだけど、正直ボスとか同僚に勝てないから拗らせてるだけでしょって思っていた。
で、ついにこの疑問を同僚にぶつけてみた。うちは生理学のラボなのに何ではじめっからずっとmolecularやってんの?って単刀直入に。そしたら、「いや、生理学やるためにこのラボに来たんだけどボスに頼まれたから仕方なく。そしたらずるずると」という返答だった。こういうケースもあるのね。でも彼女はデータを量産し、その仕事は某トップジャーナルに載るだろうと噂されているから他の人とは違う特殊なケース。ていうかこの人前ラボでも2 authorsでCellに出してるし間違いなくキレる。僕はハーマイオニーと呼んでいる。
ま、要するに、ボスの方針に沿って仕事をするのが一番良いのだなという結論。やりたいことがあったらはよ独立しろよって話ですな。
#ちょっと今日は言いたくなった
#明日は毒吐く(予定
91日目
もうすぐ3か月経つのに全然言語上達しないよやべーよ。
0. H木君の論文プレスリリースされてんじゃん。素晴らしい。次はvivoかな。それとも分化メカニズムかな。
1. 自分も前ラボ論文がいよいよ大詰め。今週末に英文校閲出して来週か再来週投稿予定。ドキドキだ。しかしこのテーマを始めてまだ2年半しか経っていないことに気付いた。この短期間でよく頑張ってデータ取ったわ自分。多少荒削りな部分があるのも無理はない。
この論文の落ち着き先次第で今後のキャリアも変わってくるだろうから、もう少し気を緩めずに頑張る。
2. こっちでの仕事も比較的順調なんだけど、同僚の研究に吸収されそうで怖い。ボスが僕に色々聞くといいよとその人に伝えたらしく、明後日ディスカッションしましょって言われた。うーむ。競合しないようにうまく棲み分けようねって提案してみる。
3. テクニシャンからみんなに「おまえら動物使いすぎじゃ」っていうアナウンスが。ボスが良いことじゃないかとなだめてくれたけど、無駄遣いしている人なんて一人もいないよ。みんな自分が生きるために必死だからな。しかしその中でも自分はvivo屋と違って使用数が多いので今後も目をつけられる可能性大いにあり。
ちと心配なり。。
75日目
ついに初データがとれた。3か月目にしてようやく。とても興味深いデータ。
この実験系を使っている人は世界で一人だから、自分だけが知っていることになる。にやり。
解析してみると、ノイズではない。が、再現性があるかどうかはまだわからない。せっかくわざわざこちらに来てまで研究しているので、アーティファクトを拾って喜ぶ研究だけはしたくない。だから余計に慎重になってしまう。とくに新しい系を用いる場合は石橋を叩いて割るくらい慎重に検討した方が、かえって早く進むのではないかと思っている。
その後、ボスとハイタッチをするという、感動的な経験をした。早く信頼を勝ち得たいぜ。
しかしここからのテーマの進め方が難しい。進め方が4パターンくらいある。そのうちいくつかの道の先は崖になっているだろうから、これまた慎重に考えないとな。。
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同僚が4人(も!)、今夏ー秋にかけて去ることが決定したらしい。2人はPIに、2人は民間に。後者は二人とも7年在籍して現在論文0。優秀だと思ったんだけど甘くはないようだ。一人はコンサルにいくことが決まっているらしい。
PIになる二人は一人はScienceの1stかつ現在N姉妹紙受理直前という勝ち組系。競合ポジションを見事にゲットしてきたようだ。
もう一人はまさかの中国で独立。彼もまだ論文が出ていないのだけれど、2つの大御所ラボ出身というのが効いたのか、むこうからオファーをくれたらしい。
研究続けたいなぁ。。