のり日記

かけだし神経科学者の留学日記

渡独30日目 物価

決してブログをやめたわけではなく、自分を戒めていました。夜こそ英語orドイツ語漬けにならないとだめなんじゃないかと思って。しかし今日は渡独1か月祝いで酔っ払っているので更新します。一人でワイン1本空けたのは初めてだぜ。

書きたいことが多すぎるけど、今飲んでいるのでせっかくなのでお酒の話から。

こっちはお酒がとても安い。ビールは500mlで0.3€(40円くらい?)からあるし、今飲んでいるスパークリングワインもたったの3€。日本の十分の一くらいか?夢の国です。お酒だけでなく、スーパーで買えるものは何でも安い。じゃがいもや玉ねぎはは2kgで50セントだし、果物も2€出せば大体何でも買える。異常。

だが、外食をした瞬間に一気に跳ね上がる。大したものを食べていなくても40€はかかるからびっくりした。公共交通機関の値段も高い。日本の倍くらい。一番ひどいのは研究所のカフェテリアで、ただのパスタなのに8,9€は当たり前。しかもまずい。本当にむかつく。だからいつも隣のゲーテ大学に忍び込んで学食で食べている。そしたら5€でそこそこのクオリティのものが食べられる。

つまり、所得が少なくても生きていくことができる国だけれど、ちょっとでも贅沢をしようものなら遠慮なく搾り取りますよ、というスタイルだと受け取った。

 

ちなみに今まで経験した学食、社食を満足順に並べてみると、

MPI<ゲーテ大学<理研名市大≒東大<<...<越えられない壁<...<アス〇ラス製薬

ですね。この順番は絶対に変わらない。企業の社食はすごかった。昼から真鯛のポワレを食べれるとは思わないでしょ普通。しかも目の前で作ってくれる。そんなレベルのものが毎日500円以下で食べられる。素晴らしいけど冷静に考えるとおかしな会社です。

実は名市大の食堂も負けてはいなくて、おばちゃんと仲良くなるとちょっとおまけしてもらえたりしました。ああいうアットホームさも重要な要素ですよね。友達はライスSSの特盛などというふざけた注文をして実際に通(とお)っていました。だからMーLくらいの量。反則だろ。

 

まだ書きたいのだけれど眠くなってきたので次回、ドイツに海外学振で行くメリットとMPIの素晴らしさについて書きます。ああ、イントロの一段落目でsubmitしてしまう気分。

 

渡独18日目 特記事項なし

今日はずっと実験見学をしていた。10時間ほぼ立ちっぱなしだったから身体も疲れた。足つぼマッサージに行きたくて仕方がない。

 

ようやく(といってもまだ二週間だが)ラボメイトと打ち解けてきた気がする。みんなわりと話しかけてくれるようになって嬉しい。

ロレンツ(同期の方)とテーマについて話したのだが、彼がとても面白いクエスチョンを思いついて準備していることがわかった。線虫の分子生物学したやったことないはずなのに、なんでこんな玄人向けなゴリゴリの電気生理に興味を持ったのだろう。いつかどこかで自分のテーマと交錯する気がする。負けられないぜ。

しかしまだmy rigが立ち上がらない。専門の部署に顕微鏡のサンプルチャンバーを依頼したのだけれど返事が来ない。明日には連絡が来ますように。

 

 

渡独17日目 ヒロトコール

書くべきことが多すぎる。

昨日は片頭痛で正午に帰宅した。英語のマシンガンを朝8時からぶっ続けで聞いていたため頭がショートしたらしい。おかげで何もできず。

 

今日、ついに初めて手を動かした。行った実験は何とマウスの斜め切りスライス作成。某雑誌に投稿中の論文のリバイズのお手伝いだ。

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一昨日この論文のディスカッションに混ぜてもらったのだが、WTの急性スライスで細胞種を同定したいと言われた。ちょっと難しいので、僕はあることをつぶやいた。某TGマウスがいたら話が早いのだけれど、と。リバイズの期限は2か月だから、今からcreとloxpを掛け合わせても間に合うわけがない。ていうかそもそもうちのラボにはマウスがいない(笑) そしたらロレンツ(うちのラボにロレンツは2人いる。studentの方)が、「問い合わせてみるわ」と。どこに聞くのだろうと思いながら話は終わり、今日になった。マウスがテクニシャンによって運ばれてきて、僕が捌いたのだけれど、その途中で、「ミスったらごめんね、代わりのWTマウスいるよね?」と聞いたら、「いるけどこれWTじゃなくて某TGマウスだよ?」と言われ、仰天する。わずか2日で、欲しいTGマウスを、欲しい週齢で手に入れたの?嘘でしょ?僕同じマウスを東大で手に入れるのに半年以上かかったんだよ?何この差は?不公平すぎじゃね?

このマウス誰からもらったの?と聞いたら、うちの研究所に既存のマウスは全ているって言われた。嘘でしょ。

思わず「It's the MPI power!」 と言ったらおまえso funnyって笑われた。

で、一匹目で良いスライスが切れ、実験もうまくいき、きみのスライスすごいねと褒めてもらえた。ロレンツがボスの前でスーパーナイスと言ってくれたから、「目標達成、この仕事終わりー」という心の声が聞こえた。

このスライスの切り方は面白い。名前はあるのか?ヒロメソッドか?とマーク(1stオーサー)に聞かれたから、ドヤ顔で

「Hirotocolだ!!」

と言っておいた。ややウケだった。でも僕はロレンツが「dentateのcell が死んでいる。dendead。」と言って誰にも拾われずにスベったことをしっかりと見ていた。彼よりは上。

明日はいよいよreptilian cortexを捌きます。

 

 

渡独14日目 自転車ゲット

今日はお友達宅へ。2台あって邪魔だからといってマウンテンバイクをくれた。無期限レンタルってやつ。顧客が日本に帰るため不要になったやつをもらったらしい。フランクフルトはほぼ平地なのでサイクリングにうってつけなのだ。早速電車で家まで持ち帰ってきた。フランクフルトは自転車を電車に持ち込める。

写真は後日upするとして、めちゃめちゃかっこいい。よくよく見てみるとこの自転車プジョーですやん。高級車作ってるメーカーが自転車を作ってるなんて知らなかった。早速これに乗ってスーパーに行ってきたんだけど、信じられないくらいスピードが出るのね。ちょっと怖かった。しかしママチャリ以外に乗ったのは小3以来なので何というか、少年心みたいなものを刺激される。しかしサドルを最大限に下げても僕の腰骨ほどの高さがある。足伸びないかな。

渡独12日目 RIGもうすぐ

復活した。昨日の体調はなかなかやばかった。

My RIG(前回の日記参照)がほぼ立ち上がった。早い。しんどいのによく頑張った自分。しかしあるかないかわからない物を探して奔走するのは本当に疲れる。みんな自分のラボの備品くらい把握していてくれよ…。

とりあえず二週間頑張ったからご褒美に封印していた邦楽を聴く。今日はミスチルを聴く。今はAny。

 

AxoscopeとHEKAどっちのアンプでいくか迷っているうちに、気づいたらまさかのAxoscope2チャネル、HEKA2チャネルっていうすごくアホっぽいセットアップになってしまった。今やりたい実験は2チャネルで足りるからとりあえずはまぁいいか。いいのか?ちなみに同僚のマイクが無事Ph.Dをとってもうすぐラボを発つから、そうしたら一気にHEKAが10チャネル手に入る。ロレンツと分け合ったとしても最低4チャネルはもらえるだろう。しめしめ。ちなみにマイクは8本同時パッチクランプを一日に2-3ターン、ノーミスでやるスキルを持っている。なので一回実験すると少なくとも50ペアは記録できるらしい。ジルは頭使って工夫を凝らす系の仕事が多いと思っていたけどこういう攻め方もするのね。自分はこういう仕事はやらないと思うけど、このスキルは欲しい。見習いたい。今はNOT FOUND。

rigの話に戻る。今の状態でもスライスやスラブなら実験できるらしいのだが全脳標本は難しいらしい。それでは立ち上げた意味がないので特注チャンバーを技術部門に注文することになった。来週だな。

Neuralynxのアンプはパソコンにボードを入れる必要があるのかな?変な形のコードが付いていたのだけどどこに差し込むかわからなかった。シリコンプローブを使えたら無敵なんだけどな。オンラインソーティングして刺激入れたりしてみたい。

Caイメージングはいったん封印。ジルの信用を得てからCSUをおねだりしても遅くはない。

ということでto do list

・Marcelに使っていないヘッドステージくれと頼む

・Mikeにヘッドステージのサポーターをくれと頼む

・チャンバーをオーダーする

・NeuralynxのセットアップについてSamに聞く。

・ノイズとり

今は常套句。

渡独10日目 さっそく風邪ひいた

風邪をひいた。間違いなく電車でもらったやつだ。一昨日前の座席に座っているおばさんの咳がひどくて、そのまま素直にもらった。なんでドイツ人はマスクをしないのだろう。郷に入りてはってことで僕もしないけど、ラボに蔓延しても知らないからな。

 

午後からラボへ。

うちのラボはSvoboda, Brecht, Albert Lee, Logothetis,など、有名ラボ出身の人が多い。この人たちは他の人よりも常に自信に満ちている(気がする)。しかしラボで一番優秀なのは彼らではなく間違いなくSam君。彼はずば抜けてスペックが高い。in vivo で彼と一緒にテーマを走らせてみたかったが、頼りまくってしまうことが予想されたからあえてやめた。ジルと一対一で研究することが目的だったし。ということで僕は一人で究極のvitro標本を作ってやります。早く実験したい。

 

さっき大家さんが来て、初めて謝られた。満足だけど、謝らないキャラを貫き通してほしい気持ちもあったので少し残念。あまのじゃく。

 

 

渡独9日目 リグ

今日はドラゴンミーティング。うちのラボもいくつかのグループに分かれている。大雑把に分けて

・dragon physiology 

・turtle physiology 

・molecular biology 

・ひたすら免染 

・イカの模様解析

脳を理解する上でどれも欠かせない技術ですよね。イカの研究も好き。でも僕は花形(?)のドラゴンphysiology グループを選びました。

で、今日は早速グルミがあった。基本、記憶・学習・睡眠・感覚系の話だから、多少早口でも大体ついていけた。みんなリップルに興味があるのね。僕は散々リップルと向き合ってきたから一回離れたい。1時間以上話したんだけど、終わりがけでボスが、

「Hiro, where is your リグ?」

と聞いてきて、パニックに。lig?rig?りぐ?…リーグか。さっきヤフーニュースでWBCの一次リーグの記事を読んでいたから、日本は一次リーグはどのグループなんだという意味だな。さすがずっとアメリカにいただけあって野球好きだな。しかし文脈的におかしい。

「I don't know, sir!!!」

と正直に元気よく答えたら ん?I don't knowだと?? って顔をされた。するとシニアポスドクが「彼には僕が来週実験を教えますよ」って言って、 ボスはふーん、そうかと納得して、リグの意味が余計にわからなくなる。で、その後に

「Do you have your own リグ?」

と再度聞かれる。

リグなんて持ってないから「NO!!!!!」と答えた。そしたらそのシニアポスドク

「あのdeviceを使えって言っただろ!」

と怒り気味で言ってきて、ますます何のこっちゃと。そこで初めて

「What is リグ?」

と聞いたら、一瞬の沈黙の後みんな大爆笑。そこでようやくわかったのだが、

リグ=実験装置

のことらしいです。初号機、フロンティアみたいな感じ。そういえば先週廃墟みたいな実験台を指してこれを使えって言われたわと、ここで初めて合点がいく。つまり、推測すると、

ボスはhiroにどの実験台を使うべきか割り振ってあげてとポスドクに命令したが、ポスドクはワークしている台ではなく適当な廃墟を選んで適当にhiroに伝えた。だからリグと言われても単語の意味を推測することすらできず、みんなに笑われたと。くっ…!!

 

でも、ミーティング後にその廃墟をよく見てみたのだけれど、いろんなものが転がってるの。一個一個並べてみると、HEKAやaxon instrumentsからneuralynxまで、何でもあるじゃないの!Andorのカメラもあるし。さらに、中央に静かに佇んでいる顕微鏡をよく見ると、「Caltech」の文字が…!!なんとボスがアメリカから持ってきた二台の装置のうちの一つらしい(もう一台はボス本人が現役で使っている)。これで俄然やる気が出た。こいつらを使って最高のセットアップを作ってやる。ちなみにこの実験台には『ダリル』と名付けることにした。このシチュエーションからFF6の飛空艇ファルコンを想起したので。いや、ちょっと違うな。まぁいいか。

 

ということで明日からはセットアップに励みます。もちろん英語もね。